ストーリー

田中夏海は、父の跡を継ぎ一人前の漁師を目指す高校時代からの友達だった荒井大和と今は付き合っている。ガソリンスタンドで働く夏海だが、ある日、客もなく暇を持て余していた彼女を無理やり連れ出した大和。船着き場に到着すると、大和は“垂姫丸”と書かれた小さな漁船を指さし、「・・・あれ、任されることになった」と告げる。そして夏海に改まって向き直り、叫ぶ。「俺と結婚してください!!」 突然のプロポーズに驚くが、だんだんと嬉しさが込み上げてくる夏海。

結婚を決めたことについて、二人は夏海の両親に報告する。離れて輪に加わろうとしない夏海の父・匠。一人娘を嫁に出す父親の心境は複雑らしい。仏壇の祖父の遺影に手を合わせて報告した後、大和が心配そうに「・・・おばぁちゃんのとこ、行かなくていいの?」と尋ねると、夏海は浮かない顔を向ける。

夏海のばぁちゃん・高山キヨは、自宅の庭で足を骨折してしまったことで歩けなくなってしまい、現在、施設で車椅子の生活をしている。夏海は、両親が共働きだったため、幼い頃からキヨに育てられたばぁちゃんっ子。だが、キヨが施設に入った頃、「もうここには来ないで」と言われて、ショックのまま疎遠になっているのだった。
久々に施設で再会した夏海。キヨの部屋に移動し、気まずい空気が流れるなかで夏海は、大和と一緒に結婚の報告をする。「・・・夏海、結婚するの」その言葉に思わず目を見開いて驚くキヨ。秋に結婚式を挙げるので、ぜひ出席してほしいと告げると、キヨは祝福しつつも「ばぁちゃんは行かれないよ・・・」と元気なく答えるのだった。

結婚式の会場を下見にきた夏海と大和。目の前に広がるバージンロードに胸を高める夏海。チャペルのスタッフに「バージンロードは、新婦が生まれた日から今日までの道のりを意味している」と教えて貰った夏海は、子供の頃からずっと一緒にいてくれて見守ってくれたばぁちゃんを思い浮かべる。なんとかキヨを励まし、元気を取り戻してほしいと悩んでいた夏海は決意する。そして大和に向かって「あたし、ばぁちゃんと一緒にバージンロードを歩きたいの」と宣言をする。
自分が一緒にバージンロードを歩くものと考えていた匠はちょっぴり寂しそうだったが、父と母の了解も得た夏海は《ばぁちゃんとの散歩作戦》を開始した。

部屋に引きこもっているキヨを連れ出すのに、彼女の麦わら帽子を持ちだして施設に出向く夏海。誰かの手を借りることを嫌がるキヨだったが、「誰かじゃなくて、夏海だからいいでしょ」と車椅子を押し、キヨを連れ出した。慌てて理学療法士の庄司が追いかけてくるが、今まで閉じこもっていたことが嘘のように、キヨは笑顔を向けた。散歩道に咲いている花々を見ては言い当てて、とても楽しそうだ。それ以来、川沿いの道や花の咲き誇る公園など、夏海が車椅子を押しながら散歩するのだった。時には大和も一緒に。
庄司が立ち会い、リハビリの運動をしている時にふとキヨは、「こんな年寄りばぁさんが夢なんて持ったらおかしいかしら? 夏が終わるまでに、歩けるようになりたいの」と話す。ひたむきな夏海の想いが、キヨに“歩く”という目標を与え、次第にその目標がキヨの生きがいへと変化していったのだ。キヨは夏海に断言する。「バージンロードは、自分で歩きます!」
そして、リハビリという、夏海とキヨの共同戦線が始まった。近い将来、実現させたい希望に向かって・・・。